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起こり

長春八極拳は他の八極拳門派に対してタメ(蓄勁)が少ないと一般的、特にネットでは言われているようです。タメは予備動作であり、呼吸で相手に入れる者からすれば隙でしかありません。
かつて譚師爺は八卦掌を研究されて長春八極拳の急行歩と八卦の走圏は同じであると言われてました。李老師は急行歩を竹藪の中で練習して「走打」に開眼されました。蓄勁はつまりは六合を理解することで叶います。歩法の中で螺旋の交替を理解して途切れることのない勁力を獲得することで相手にタメを悟らせない訳です。
これが長春八極拳が「毛病」と言われる悪癖の中でも特に身体をシャクルように、ウネルように使う動作を嫌う理由の一つです。譚師爺、李老師が表演に無関心な理由です。

「起こり」についてもう少し捕捉すると、長春八極拳の教えで良く言われるのが「捻腰切胯」、いわゆる「腰を切る」と言う事です。これは日本武道で言うところの「身体を割る」と同じですね。中心の軸だけでなく、足裏の湧泉のツボから肩の肩井をつないで側軸を作ると理解し易いでしょう。胯を使うことで身体を回すのでなく切る、「起こり」を消して一拍子で動くことが可能になります。上半身、下半身を合わせることで胸も割れます。譚師爺、李老師の冲捶の教えは腰から「一」で打つと言うことでした。